2013/09/10 【終活のレシピ】
大した財産はないから遺言なんて必要ない、と思っている方は案外多いのではないでしょうか? しかし、相続争いが頻繁に起こるケースの多くは、300万円程の財産をめぐる一般の方なのです。これは近年の経済的事情も影響していると考えられます。最近では、40代、50代の失業や離婚も珍しくありません。老後のめどがたたなくなり、親の財産に頼るしかないといった事情が起こりうる可能性も高いのです。
遺言は相続トラブルを回避する手段の一つ
遺言というのは、お金持ちが残すものと考えている方も多いでしょう。ですが、実際に弁護士や家庭裁判所に寄せられるケースは、わずかな預金と持家だけ、といった普通の方が多いといいます。
財産がたくさんあれば、遺族で分けることも容易になってきますが、一つ二つといった財産を分けるというのは、案外難しいものです。遺産を分けるために、持家を売ることももちろん簡単にはいきません。それぞれの主張が折り合わず、遺産分割協議が長引き、その後お互いにしこりを残こすことも少なくないのです。
住んでいる土地と家しかない場合には、財産分与で残された妻が、住み慣れた場所を離れなくてはいけないことも心配です。そういった場合には、遺言で妻の取り分を多くしたり、親の面倒を見続けてくれている長男の相続分を増やしてあげることで、その後の生活が心配なく安定したものになります。
また子どもがいない場合でも相続でもめがちです。例えば配偶者にすべて財産を相続したいと考えていたとしますと、遺言を残さなくては親や兄弟が相続に加わることになります。妻に全額相続すると遺言を残すだけで、親や兄弟は遺産の相続分がなくなりますので、財産は必然的に妻のものとなります。
トラブルや誤解を避けるためにも、遺言は大切なことなのです。
遺言はいろいろなケースに必要となる
遺言はいろいろなケースに役立つものです。例を挙げてみていきましょう。
・先妻との間に子どもがいる場合
先妻との子どもにも、もちろん相続権はありますが、これもトラブルとなるケースが多いものです。現実問題として、分割割合を指定しておくことで協議がスムーズに進みやすくなります。
・内縁の妻がいる場合
入籍していないと、法律上相続人とは認められません。遺言では、相続人でない方にも、贈与することは可能です。内縁の妻の生活費を保証してあげる意味でも、遺言を残してあげる必要があります。
難しい部分もありますが、様々なケースで愛する家族のことを考えて、トラブルを起こさない状況を用意しておいてあげることも、終活として考えておくべきことなのかもしれませんね。