2015/04/08 【カルチャー情報】
かつて江戸のシンボルとされていた江戸城。現在、天守を含めたほとんどの建造物は失われていますが、広大なお堀に囲まれた緑豊かな敷地には、日本武道館などの観光スポットも点在し、当時の徳川家の権勢がしのばれます。近年、実は江戸城天守を再建しようという動きがあるそうです。
2020年までに江戸城天守を再建
NPO法人「江戸城天守を再建する会」では、東京オリンピックが開催される2020年をめどに江戸城天守の再建を目指しています。現在も皇居東御苑内に残る天守台の上に5階建ての天守を木造建築で忠実に再現する試みですが、完成すると、高さ約60m(20階建ての高層マンション)の巨大建築物が東京に出現する予定です。
江戸城の歴史と現在
現在再建予定の天守を建てたのは3代将軍徳川家光ですが、江戸城自体は1457年に太田道灌によって築城されました。その後、家康から慶喜に至るまで徳川氏の居城となります。1868年に明治新政府軍に明け渡され、東京(とうけい)城に改名されました。当時のまま残された石垣は、伊豆半島から船で輸送されてきたものですが、ここまで大規模な城郭は、関東では小田原城と江戸城しかありません。
徳川幕府の中心であった江戸城ですが、現在では皇居になっています。第二次世界大戦までは、江戸城の名残がある「宮城」と呼ばれていましたが、戦後に名称を改められました。皇居は天皇の住居である御所、公的行事や政務の場である各種の宮殿、宮内庁庁舎などで構成されています。
再建すると年間1,000億円の経済効果が見込まれる
江戸城天守再建が実現すれば、現存する木造建築物の中では世界最大級になる見通しです。日本国内はもとより外国人観光客も多数見込まれ、経済効果は、一説によれば年間1,000億円との試算もあります。そのため、新たな東京の観光名所としての期待が高まっています。
皇居周辺はマラソンコースとしても人気が高く、たくさんの人に親しまれていますが、もし江戸城天守が再建されれば、ますます多くの観光客でにぎわうことになりそうです。江戸の情緒を今に伝える、東京の新しいシンボルとなることは間違いないでしょう。