2015/12/01 【終活のレシピ】
政府はここ数年、「生涯活躍のまち」構想という取り組みを進めています。首都圏の高齢者が希望に応じて地方などに移り住める環境を構築し、より活動的で豊かな生活をサポートする内容です。どのような目的でこの取り組みが考えられているのか、3つの要点を踏まえてご紹介しましょう。
地方への移住を願う高齢者
内閣官房は東京都内在住者のうち、地方への移住予定および検討中の方の割合を示した調査結果を発表しました。それによると、50代男性50.8%、女性34.2%で、60代男性36.7%、女性28.3%で、かなりの割合の方が、移住を予定または検討しています。平均すると「50代の約2~3人に1人」が、「60代の約3人に1人」が地方に興味を持っていることになるのです。
この背景には、今までとは異なる第二の人生を歩み、新たなスタートを切りたいと考えている方が社会的に増えたことにあります。また高齢者の生活保護受給者が増加しているなか、地方における物価の安さに魅力を感じるといった側面もありそうです。
地方創生が根底にある地方移住への推進
政府は、首都圏の高齢者が地方移住に興味を持っている事実を受け、地方への流れをつくることを課題に挙げています。併せて、地方創生が望まれるなかで、高齢者の地方移住が首都圏への人口集中のひとつの打開策になるのでは、という見方もあるようです。
近年は医療介護サービスが充実してきており、地方でも安心で安全な生活を送ることのできる環境が整いつつあります。むしろサービスだけが充実し、利用者が少ないことに悩みを抱える病院なども少なくはありません。以上のような観点からも、高齢者の地方移住は大きな意義があると言えます。
高齢化社会と医療介護サービスの確保における問題
国立社会保障・人口問題研究所によると、2025年までに首都圏の後期高齢者は約175万人も増加するという見通しを立てています。2015年時点でも首都圏の医療介護人材不足が嘆かれるなかで、今以上の状況になり得るおそれがあるために問題解決は急務だと言えるでしょう。
そして高齢者の地方移住はこの解決策になる可能性があります。以上の3点によって「生涯活躍のまち」構想が進められているのです。まだ構想段階のため具体的な施策は進められていませんが、さまざまな現状を考慮すると、できるだけ早期の実施が望まれます。