2016/09/23 【お墓と供養】
「掃苔」という言葉をご存じですか?近年ではあまり使われなくなりましたが、読んで字のごとく「苔をきれいに掃き清める」こと、つまりお墓参りのことをさす言葉です。
また、ご先祖のお墓参りに限らず、歴史上の人物や著名人のお墓を詣でる趣味を持つ人を掃苔家と呼ぶこともあります。昨今では「墓マイラー」という呼称も誕生し、名所旧跡を回りながら、その地ゆかりの芸術家、俳優などのお墓参りをする人も増えているようです。
<先人のお墓からその人柄に思いを巡らす>
実際に著名人のお墓を訪ねてみると、生前の功績そのままの豪華なお墓もあれば、ひっそりと質素なお墓があったり、デザイン性の高い個性豊かなつくりのお墓があったりと意外な発見があります。
また、そこに彫られている墓碑銘から故人の人柄や思いが偲ばれ、学び得ることも多いといわれています。
好きな小説家や俳優が「ここに眠っているのだ」と思うと感慨深いものがあり、亡くなった後もお墓の存在が遺された人々の心の拠り所になっているのは素晴らしいことです。
<お墓はプライベートな場所。マナーを守って掃苔を>
しかしいくら著名人と言っても、そこは墓地です。故人の眠る場所であり、遺族もいらっしゃいます。マナーを守ってお参りをすることが大切です。
とくに寺院墓地の場合は敷地内に無断で入ることは避けましょう。一声かけてお参りをお願いし、ご本尊に先にお参りすることが礼儀です。
もちろん霊園墓地であっても基本的なマナーは同じです。
勝手にお花やお線香を手向けたり、お供え物をするのも片付けの手間が生まれてしまうのでNGです。
また「掃苔」とは言っても、実際にお墓を掃除するのはプライベートな領域に立ち入ることになりますので、避けた方がよいでしょう。
できれば少人数で静かにお参りだけをするようにし、あまり長居することのないように心がけたいものです。
9月も後半に入り秋らしく過ごしやすい日も増えてきました。この機会に好きな著名人のお墓を訪ねてみてはいかがでしょうか。ご自身の終活のひとつとしても先人のお墓のあり方はよい参考になるかもしれませんね。