2019/10/21 【明日を楽しむレシピ】
2019年のノーベル化学賞を旭化成名誉フェローの吉野彰さんが受賞したことは、ラグビーワールドカップの快進撃とともに、たて続く台風の被害に沈んだ日本人の心を元気にしてくれる明るい話題でした。
吉野さんが発明したリチウムイオン電池は、ノートパソコンやスマートフォン等に使われているきわめて身近なもの。私たちが気軽にパソコンを持ち歩き、日常的にスマフォを使っているのもこの発明があってこそのものなのです。今回はそのノーベル賞受賞者を数字の側面から追ってみました。
<アジアでは唯一受賞者数トップ10に入る日本>
ノーベル賞は、ダイナマイトの発明者として知られるアルフレッド・ノーベルの遺言に従って1901年から始まりました。物理学、化学、生理学・医学、文学、平和、経済学の分野で顕著な功績を残した人に送られる賞ですが、経済学賞だけはノーベルの遺言にはなく、スウェーデン国立銀行の設立300周年祝賀行事一貫として、1968年に設立されました。
日本出身のノーベル賞受賞者は、米国籍の南部陽一郎さん、英国籍のカズオ・イシグロさんを含めて28人目となります。
2018年までの統計では受賞者を最も多く輩出しているのがアメリカ、次いでイギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの順で日本は第6位です。アジア諸国では唯一第10位までに含まれています。
<近年は2年に1回は受賞者を輩出している>
日本人では物理学賞の受賞が最も多く、次いで、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、平和賞の順になります。経済学賞は日本からはまだ出ていません。
日本人初のノーベル賞受賞者は1949年に受賞した物理学賞の湯川秀樹氏です。そして唯一の平和賞受賞者は、1974年の佐藤栄作氏、2名の文学賞は1968年の川畑康成氏と1994年の大江健三郎氏です。
日本人が受賞すると、速報や号外が流れて日本中が沸き立ちますが、2008年以降はほぼ2年に1回は日本人が受賞しています。1949年初受賞の湯川秀樹氏から次の朝永信一郎氏までは6年、佐藤栄作氏から次の福井謙氏さんまでは7年の間があいています。近年はそれだけ日本人の力が世界に認められているということでしょう。
ノーベル賞受賞者の学位取得大学は東京大学が一番多く、次いで京都大学、名古屋大学、北海道大学、東京工業大学、徳島大学と続き、いわゆる「国立旧一期校」が並びます。次いで私学の東京理科大学が登場します。出身高校は国立も含め公立高校が25と圧倒的に多くなっています。
かつては受賞記者会見もしかつめらしいところがありましたが、2001年の野依良治氏や翌年の小柴昌俊氏らからは、ユーモアを交えて笑顔の多い21世紀らしい新しいスタイルの記者会見になってきました。
今回も笑顔の素晴らしい吉野さんの受賞を心からお祝いしながら、人類の英知をもう一度かみしめたいものですね。