2013/10/30 【カルチャー情報】
ものづくりは実に楽しいものです。DIYをしたり、絵を描いたり、作品がいつまでも残るだけでなく、制作の過程を楽しむことで心までもが豊かになりますね。作るものは何でもいいのですが、自分だけのオリジナル作品にすることが大事です。
例えば陶芸。自分の手で一から作り上げていくので、同じものを他人が作ることができないのはもちろん、自分自身が同じ方法で作ったとしても、できあがりは異なるものになります。そんな陶芸の魅力をご紹介します。
陶芸品の制作過程
陶芸というと真っ先に思い浮かぶのが、こねた粘土をろくろの上で回し器を作っていく姿ではないでしょうか。ですが、それは陶芸のほんの一部でしかありません。粘土から器になるまでの過程を見てみましょう。
陶芸は、まず粘土を練って均一に整えることからはじまります。粘土の硬さのムラをなくすための“荒練り”、中の空気を外へ出すための“菊練り”を経て、陶器になる粘土に仕上がります。その後、よく目にする電動ろくろを使う方法と、手動のろくろを使う手捻りという方法がありますが、どちらもろくろを使って器の形に成型していきます。
陶芸の世界では「土練り3年ろくろ10年(8年とも言う)」と言われるほど、難しい作業です。はじめからうまく作ろうとせず、感覚をつかむつもりでリラックスしてやってみるとよいでしょう。
ある程度器の形になったら、ヘラで細部を整え、底の高台を制作します。完全に器の形になったところで、屋内にある乾燥棚で自然乾燥させます。
十分に乾燥させた後は、いよいよ窯へ。最初は約800℃ほどで10時間近く焼く「素焼き」です。その後、釉薬(器の表面をなめらかにする薬品。器に色を付ける意味もある)をかけて、最後の工程である「本焼き」に入ります。約1000℃以上の高温で15時間ほど焼けば、ようやくできあがりです。ちなみに上記の温度や時間は一例で、季節や天候、気温・湿度などによって変化します。
ずっと身近になった陶芸
陶芸は芸術性や制作過程の複雑さから、敷居の高いイメージがある人もいるのではないでしょうか。しかし、現在では若い女性を中心に静かなブームを呼んでいます。その要因の一つが、電気窯やガス窯の普及です。住宅街やオフィス街の陶芸教室、極端にいえば自宅でも、本格的な陶芸作品が作れるようになりました。
また、陶芸教室によっては荒練りや菊練りなどはスタッフが行ない、生徒は器を作る工程からスタートできるところもあります。荒練りや菊練りをほとんど行なわずに済む粘土も販売されており、今では初心者も手軽に陶芸を楽しめるようになりました。
自分で一から作った器を使って飲む茶や酒は格別な味わい。秋の夜長にどんなものを作ろうか思案するのも、オツですね。