2014/05/06 【カルチャー情報】
皆さんは、究極に甘いワイン「トカイワイン」を知っていますか?
ハンガリーのトカイというところで何世紀も前から親しまれてきたという、この地ならではのワインのことを、貴腐ワインの「トカイワイン」といいます。
あのルイ14世が「ワインの王」と讃えたワインとしても有名です。今回は、このハンガリーの世界遺産でもある「トカイ」の名産ワインを紹介します。
貴腐ワイン「トカイワイン」とは?
まるで蜂蜜や乾燥プラム、フルーツジャムのような甘みがあるといわれるトカイワイン。ぶどうの水分を飛ばして極限まで糖度と香りが高められているというものです。金色に光る美しさが特徴で、世界遺産でもあるハンガリーのトカイ村で採れる「フルミント」と呼ばれるぶどう品種が主に用いられる貴腐ワインです。
貴腐ワインとは、一般的に「貴腐ぶどう」から造られたワインのこと。甘口の上質な味わいが決め手となります。貴腐ワインはヨーロッパやアメリカ、オーストラリアでも造られていますが、数ある中でも、ドイツの「トロッケンベーレンアウスレーゼ」、フランスの「ソーテルヌ」、ハンガリーの「トカイ」は世界三大貴腐ワインとしても知られています。
その「貴腐」と呼ばれるのは、まるで腐敗したかのように見える遅摘ぶどうから造られる高貴なるものだからだそうです。ハンガリーの高級レストランでは、食前酒・デザート酒として親しまれており、フォアグラをおつまみに飲まれているそうです。日本円でいうと、グラスワインで約1,000円~3,000円というのですから、やはり高級なワインなのですね。
産地はハンガリーの世界遺産トカイ地方
このトカイワインで有名な地は、ハンガリーの中でも世界遺産として認定されているトカイ地方です。トカイワインが造られたのは、はるか昔の17世紀といわれています。トルコ軍によって占領された時期、ぶどうの収穫が遅れたことで、偶然「アスー化」といわれる、通常の「菌によって腐る」のとは異なる、特殊な現象が起きたことからできたといわれています。このドラマチックかつ奇跡的なストーリーが、かつて信じられていた言い伝えでした。しかしながら、最近になって見つかった古文書には、すでに1571年にこのアスーワインは存在していたことがわかっているそうです。
ちなみに「アスー化」とは、独特の気候の変化によって、ぶどうの水分が飛ぶことで、成分が濃縮されて残り、シワシワの干しぶどうのような状態になることをいいます。
日本でも、直輸入されたトカイワインを扱っているショップや、レストランもたくさんあるので、機会があれば一度味わってみたいものです。