2015/08/19 【終活のレシピ】
高齢者の生活を支える年金の受取額が、今後は減額されていく見通しであることをご存じですか? さらに、それだけではなく、受給年齢が引き上げられる可能性もあるといいます。こちらでは、今後の年金がどうなっていくのかについてご紹介します。
現役世代の年金受給額の減額
厚生労働省『国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し(平成26年財政検証結果)』によると、物価に対する年金の比率は、30年の間に10%以上減るとされています。この結果のうち、経済が平均的な成長をしたという前提で、約30年後の年金について見てみましょう。
平成26年度の年金収入は、現役男性の手取り収入の約63%でした。平成42年には約57%、平成62年度には約51%と段階的に下がり、以降は所得代替率が維持される見込みです。つまり、実質的に年金受取額が下がってしまう計算になります。
今後の対策試案
現在既に年金を受け取っている人も、毎年少しずつ下がっていきます。高齢者にとっては厳しい見通しとなりますが、この対策として、厚労省はいくつかの試案を提示しています。
まず、現役世代が保険料を納める期間を5年間延長する案です。今は20歳から60歳まで納めることになっていますが、これを65歳まで引き延ばします。これにより、年金を受給する年齢になったとき、受取額を増やすことができるのです。
2つ目は、年金受給開始年齢を個人の選択で引き上げるという案です。遅く年金を受け取ることによって、ひと月の年金額を増やせることになります。今でも66歳から70歳の間で受給開始年齢を自由に選べますが、余裕のある人は75歳まで遅らせて、その分ひと月の受取額を増やせるようにしてはどうかということが検討されるそうです。
ただ、いずれにしても、高齢者・現役世代ともに個人の負担が大きくなっていくことは確かでしょう。
年金は、国民の生活を支える社会保障制度です。しかし、今後の予想を見ると老後の生活が必ずしも万全に保障されるとはいえず、不安になってしまう方も多いかと思います。少しでも不安を解消できるよう、老後に備えて貯蓄をする、健康には気を使うなど、自助努力をしたいものですね。