2013/06/24 【お墓博士の一言】
わずか30年ほど前は、お墓と言えば墓地を買って墓石を建てることでした。 しかし今日では、ロッカー、納骨堂、樹木葬、樹林墓地等々驚くほど多様化しました。 簡素化を全面否認するつもりはありませんが、お墓とは何なのでしょうか。 お墓は単なる遺骨の収納場所ではありません。人が亡くなった時に供養塔として慣習で建てるというだけのものでもありません。
お墓は故人を偲び、そこに集い、報告し、感謝し、家族の歴史を語り継ぎ、先祖を敬う気持ちを育む大切な場所です。お墓は精神の触れ合いの場であり、子供たちに人としての正しい生き方を教える場でもあります。
ロッカーや樹林墓地にその佇まいがあるでしょうか。ロッカーの前に子供たちを並べてお前たちのおじいちゃんは、一番上の段の左から1,2,3番目のあそこにいるんだよ! 「お前たちが今日あるのはご先祖様のお蔭なんだよ」「ご先祖様への感謝の心を忘れたら幸せは得られないんだよ」「ご先祖様はいつも天上からお前たちを見守っているんだよ、 だから悪いことをしてはいけないよ」と諭せるでしょうか。
お墓の簡素化を進めていくことは、日本人の心の原点でもある先祖崇拝の精神を見失っていくことにつながり、ご先祖様を敬わない、親を大切にしない日本人になっていくことになるのではないでしょうか。