「森の墓地」は森と湖に囲まれたスウェーデン、ストックホルム郊外にあります。
この墓地を設計したのは北欧の近代建築に多大な影響を与えたグンナール・アスプルンド。彼は生涯をかけて祈りの空間に挑みました。一面芝に覆われたおだやかな丘、まっすぐ伸びるアプローチ、その先にはシンボリックな巨大な十字架そびえています。
低い壁がアプローチに沿って伸び、その裏側に森に囲まれながら眠る故人達のお墓があります。
石畳のアプローチを進むと、森の礼拝堂が姿を現します。礼拝堂へ向かう門には“遺された者”の言葉として「Hodie tibi, cras mihi」(今日はあなた、明日は私)と刻まれています。そして、森の墓地のエントランスには「Hodie mihi, cras tibi」(今日は私、明日はあなた)と“遺された者”の言葉と対をなす“逝く者”の言葉が刻まれています。25年の歳月をかけ、1940年に竣工した「森の墓地」はアスプルンド最後の作品になりました。
そして、彼の功績が認められ1994年にユネスコの世界遺産に登録されました。 森の墓地は「人は死んだら森に帰る」と言い伝えられているスウェーデン人の心を表現した墓地と言えるのではないでしょうか。