2014/06/20 【お墓博士の一言】
お盆は年に一度祖霊がこの世の住まいに戻ってくる大切な日です。お盆の語源は、サンスクリット語の「ウラバンナ=逆さづりにされた苦しみ」が音写されて「盂蘭盆会=うらぼんえ」、略してお盆となったようです。
お盆の行事は、推古天皇が目連尊者の故事に由来して1400年前に催されて以来、今日まで行なわれている先祖供養の大切な行事です。
その故事とは、お釈迦様の高弟のお一人で神通力に優れた目連尊者というお坊様が、亡くなった母親が餓鬼道に落ち苦しんでいることを知り、どうしたら救えるかをお釈迦様に救いを求めたところ、7月15日の修業が済んだあと出来るだけたくさんの僧侶を招き、多くの供物を捧げて供養すれば救われると説かれ、その教えに従ったところ、その功徳によって母親が極楽往生を遂げられたという故事に由来しています。
13日の夜に迎え火をして祖霊をお迎えしますが、迎え火を焚く前に仏壇や仏具を清め、精霊棚を作り果物や野菜、お餅やご飯、故人の好物などを供えます。14日、15日は仏壇にお供え物をして祖霊を供養し、16日に送り火をして送り出す習わしです。
精霊棚の作り方やお供え物は地方によって様々ですが、全国共通の最高の供え物は、正しい心を持って生きているかどうかを反省すること、今日の自分があるのはご先祖様のお蔭であることを感謝することです。
伝統的には7月15日を中心に行われますが、地方では月遅れの8月15日を中心に行うところが多いようです。
その理由は、昔は国民の8割が農家であった為、7月15日では繁忙期で縁者が集まれず折角お戻りになるご先祖様におもてなしが出来ない為、地方では月遅れの8月15日になったようです。
日本人の心の原点でもある先祖崇拝の大切な精神を忘れないためにも、お盆にはご家族全員でご先祖様をお迎えして、祖霊に報恩感謝の気持ちを捧げましょう。そしてその行いを示すことは、子供さんやお孫さんにこの上ない情操教育となることでしょう。