2013/04/24 【お墓博士の一言】
一部のお寺様や墓相の先生、なかには石材店から、お墓を勝手な形で作るのは邪道だ。
死者の安寧を祈り、家族の幸せ、家の繁栄を願うなら“五輪塔”を建てなければいけない。
予算等で問題があるなら、せめて三段型の墓石を…、全優石が提唱しているデザイン墓石などは邪道で建てるべきではない…と言われたがどうなんですかという質問が全優石の「フリーダイアルお墓何でも相談」に掛かってきます。
その答えは極めて明快です。五輪塔が登場したのは平安時代の末期頃で、このお墓を建てることが出来たのは身分の高い人だけで、一般庶民は建てられませんでした。一般庶民が五輪塔を建てるようになったのはずっと後になってからです。ということは、江戸時代後期以前の庶民は、死者を敬わず、家族は不幸せ、家の繁栄もなかったということになります。
また、昭和40年代に入ってオルガン型の洋型と呼ばれるお墓が登場し、現在和型と呼ばれる三段型のお墓を上回る建立数となっています。五輪塔や三段型のお墓をを建てないと不幸せになるというなら、墓石建立者の半数以上は不幸せになっていないと話が合わないことになりますね。
無論五輪塔や三段型のお墓を否定する気はさらさらありません。五輪塔は密教の地・水・火・風・空の五大思想に基づいて作られたお墓で、報恩供養を願って建立する代表的な供養塔であることは事実ですし、三段型のお墓は、五輪塔を原型に江戸時代の中期頃幕府のキリシタン政策の一端として制定された檀家制度によって登場し、庶民が建てるようになった仏塔であることも事実です。
従って、亡き人を供養するにはやはり伝統的な五輪塔或いは三段型が良いと思われるなら、そうされたらよろしいと思いますし、故人を偲び、その人の生き方や想いを形に込め語り継ぎたい方、、この世に生きた証を残したい方、家族の絆を残したいお墓を作りたい方は、人それぞれに想いを込めたお墓作りをされたらよいと思います。
大切なのは供養する心です。
今から7万年も前にネアンデルタール人が死者に花を手向けたことが考古学で明らかになっています。ネアンデルタール人が花を手向けた心、それがお墓の原点ではないでしょうか。従って大切なのは供養する心で、墓石の形ではありません。